肝臓の窓
肝炎(経過)
肝炎とは、肝臓に炎症が起こった状態をいいます。わが国では、原因のほとんどが肝炎ウイルスの感染によるものです。その他の原因として、薬物・アルコール・アレルギー・脂肪肝(NASH)等があります。肝炎は、経過から大きく3つに分類することができます。
1. 急性肝炎
ウイルスに感染してから、数週間の潜伏期間を経て急性に発症する肝炎。ウイルスを排除しようとする免疫の働きにより、肝臓に炎症が起こります。ほとんどの場合、数ヵ月で治癒します。
2. 慢性肝炎
肝臓に起きた炎症が、6ヵ月以上持続した状態。肝臓病の中で、一番多いのがこの慢性肝炎で、一部は肝硬変へ進むことがあります。
わが国における慢性肝炎患者
慢性肝炎約350万人、C型肝炎約70%、B型肝炎約20%、その他約10%。慢性肝炎の重症度は、活動性の程度(A0~A3)と線維化の程度(F0~F4)から分類されます。
(新犬山分類 1996)
①活動性(A)の程度(グレード)
肝炎が現在、非活動性か活動性かを示します。
A0 | 肝細胞の壊死・炎症なし | 非活動性 |
---|---|---|
A1 | 軽度の壊死・炎症 | |
A2 | 中等度の壊死・炎症 | 活動性 |
A3 | 高度の壊死・炎症 |
線維化(F)の程度(ステージ)
過去の活動期のあと(線維)が、どれだけ残っているかを示します。
F0 | 線維化なし | |
---|---|---|
F1 | 軽度の線維化(門脈周辺に線維が増える) | 発がん率(年率)0.5% |
F2 | 中等度の線維化(門脈域と門脈域を結ぶ線維の橋ができる) | 発がん率(年率)1~2% |
F3 | 肝小葉のひずみを伴う高度の線維化(門脈域と中心静脈を結ぶ線維の橋ができる) | 発がん率(年率)3~5% |
F4 | 肝硬変 | 発がん率(年率)7~8% |
※肝臓の線維化の進展に伴って、発がんリスクが増大します。
3. 劇症肝炎
肝臓の細胞が一度に急激に広範囲に壊死を起こすと、肝不全状態となります。この状態を劇症肝炎といいます。急性肝炎から劇症肝炎になる割合は1~2%と低いのですが、劇症肝炎になると死亡率が極めて高く、70~80%の人が現在でも死亡しています。