検査について
1. 血液検査
肝機能を調べる
検査項目 | 基準値(参考値) | 単位 | この検査で分かること |
---|---|---|---|
総ビリルビン | 0.2〜1.0 | mg/dl | 肝細胞障害や胆道に排泄障害が生じると、血液中にビリルビンが増加して高値を示します。 |
総蛋白 | 6.5~8.2 | g/dl | 肝硬変などで肝臓の働きが低下すると、低値を示します。 |
アルブミン | 3.9〜5.8 | g/dl | 肝機能が低下すると、肝臓で合成されるアルブミンが低値を示します。 |
TTT | 0〜4 | U | 肝臓などに炎症が持続すると高値を示します |
ZTT | 4〜12 | U | |
GOT(AST) | 5〜40 | IU/l | 肝細胞障害によって血液中にもれ出てくる酵素です。障害の程度がひどくなるほど、高値になります。
|
GPT(ALT) | 5〜40 | IU/l | |
ALP(アルカリホスファターゼ) | 70〜260 | IU/l | 肝細胞障害や胆道系に異常があると胆汁の流れが悪くなり、上昇します。又、骨の異常でも上昇します。 |
r-GTP | 0〜50 | IU/l | 肝細胞障害や胆道系に異常があると胆汁の流れが悪くなり、上昇します。脂肪肝やアルコール性肝障害のときに著しく上昇します。 |
ChE (コリンエステラーゼ) | 203〜460 | IU/l | 肝細胞の働きが低下するほど低値となります。ただし、脂肪肝のときは上昇します。 |
LDH | 180〜460 | IU/l | 肝細胞障害により肝細胞から血液中にもれ出て、値が上昇します。 |
総コレステロール | 130〜220 | mg/dl | 肝機能が低下すると、肝臓で合成されるコレステロールが減少し、血中コレステロールは低値になります。 |
PT(プロトロンビン時間) | 10〜12 | 秒 | 血液の凝固能を表します。肝細胞障害があると血液が固まりにくくなり、PTが延長します。 |
アンモニア | 30〜86 | μg/dl | 肝機能が低下すると肝臓の解毒機能も低下し、血中アンモニア値が上昇します。 |
ICG | 10%以下(15分停滞率) | % | 肝硬変など肝障害が進展すると肝臓への血流が低下してICGの排泄が遅れ、血中ICG濃度が高くなります。肝臓の排泄除去能を表すKICG値は低下します。 |
B型肝炎ウイルス(HBV)を調べる
検査項目 | 基準値(参考値) | 単位 | 検査結果の解釈 | |
---|---|---|---|---|
HBs抗原 | 定性 | (-) | – | 陽性のとき、現在B型肝炎ウイルスに感染している状態です。 |
定量 | 0.05未満 (CLIA法) |
IU/ml | ||
HBs抗体 | 定性 | (-) | – | 陽性のとき、過去にB型肝炎ウイルスに感染して現在は免疫ができている状態、あるいはワクチンで免疫ができている状態です。 |
定量 |
10.0未満 |
mIU/ml | ||
HBe抗原 | 1.0未満(-) (CLIA法) |
s/co | 陽性のとき、B型肝炎ウイルスの増殖が強く、血中にウィルスが多く感染力も強い状態。肝炎を繰り返し肝機能が悪化する恐れがあります。 | |
HBe抗体 | 30.0未満(-) (CLIA法) |
INHIBITION % |
陽性のとき、B型肝炎ウイルスの増殖が弱まって血中ウィルスが少なくなり、肝炎が鎮静化しやすい状態です。ときに、血中ウィルスが増加することもあるので、注意は必要です。 | |
HBV-DNA(PCR法) | 2.6未満 (リアルタイムPCR法) |
Logコピー/ml | 血液中のB型肝炎ウイルス量を表す。ウィルス量が多いほど、インターフェロン治療に抵抗性であることが示唆されます。 |
肝細胞癌を調べる
検査項目 | 基準値(参考値) | 単位 | この検査で分かること |
---|---|---|---|
AFP | 10.0以下 | ng/ml | 肝細胞癌の有無や治療後の経過と相関します。しかし、これらの値が上昇したからといって、必ずしも肝細胞癌があるとはいえません。肝細胞再生時にも上昇します。AFP-L3分画という肝細胞癌に、より特異性のある腫瘍マーカーも使われています。 |
PIVKA-Ⅱ | 40未満 | mAU/ml |
B型肝炎ウイルス(HBV)マーカー陽性・陰性の意味
C型肝炎ウイルス(HCV)を調べる
C型肝炎ウイルス(HCV)マーカー陽性・陰性の意味
検査項目 | 基準値(参考値) | 単位 | 検査結果の解釈 | |
---|---|---|---|---|
HCV抗体 | 1.0未満 | (-) | C.O | 陽性の場合、過去にC型肝炎ウイルスに感染したか(確率30%)、現在感染している(確率70%)状態です。 |
HCV-RNA PCR法 | 定量 | 検出せず | LogIU/ml | 血液中のウイルス量を表します。 |
HCV-RNAコアゲノタイプ | 検出せず (RT-PCR法) |
LogIU/ml | C型肝炎ウイルスの遺伝子のタイプを表します。 |
HCV-RNAゲノタイプ(遺伝子検査)の意味
C型慢性ウイルスは遺伝子のタイプによって、ゲノタイプ1b・ゲノタイプ2a・ゲノタイプ2bという3つのタイプに分けられます。 日本ではその中でも、ゲノタイプ1bが70%を占めます。
C型肝炎ウイルスにおけるゲノタイプ
今までのインターフェロン治療効果は、ウイルスのタイプ(遺伝子型・量)によって異なりました。最新のペグイントロン+レベトール+ソブリアード®治療では、ウイルスのタイプに関わらず高い治療率(SVR)が得られるようになりました。
2. 画像検査
超音波画像診断(腹部エコー)
障害物にあたると跳ね返る超音波のしくみを利用した検査です。迅速かつ手軽に、肝臓の形、大きさ、表面、内部の線維化の状態が診断出来ます。また無痛・無侵襲の検査法で、妊婦にも安心して使用できます。腹腔内の腹水の有無の状態が診断出来ます。肝疾患の診断に広く用いられています。
肝硬変になったら3ヶ月ごとに検査を受けるよう推奨されています。
CT(コンピューター断層撮影法)
X線を使用したコンピューター断層診断法です。患部の形、大きさ、位置などを輪切り状態で明確に表すことが出来ます。又、造影剤を併用することで血流の状態を知ることが出来る。(肝臓の状態を知ることが出来、又、肝がんの診断に有用)
肝硬変になったら6ヶ月ごとに検査を受けるよう推奨されています。
MRI(磁気共鳴画像検査)
磁気と電波による磁気共鳴を使用したコンピューター断層診断法です。縦、横、斜めと任意の断層像が鮮明に得られるうえに、造影剤を併用することで、血流の状態も知ることが出来ます。(肝臓の状況を知ることが出来、肝がんの診断に有用)(画像センターへ紹介します。)
血管造影
肝臓に向う動脈に造影剤を注入して撮影するX線検査です。血管の抽出に優れ、他の画像診断では不十分な場合入院検査として行われる。又引き続き治療(TAE)が施行出来ます。(腫瘍の良性・悪性の鑑別と、治療に有用)(専門病院へ紹介します)
検査項目 | 長所 | 短所 |
---|---|---|
超音波(エコー検査) |
|
|
CT コンピュータ断層撮影法 |
|
放射線を使用しているので、頻繁に使用できない。 |
MRI 磁気共鳴画像検査 |
|
|
3. 腹腔鏡検査
腹壁に小さな穴をあけ、腹腔鏡で肝臓の形態や表面を直接観察する検査法です。肝表面の病変には、とくに威力を発揮する。腹腔鏡の観察下に、肝生検を正確に行うことが出来きます。肝臓の線維化の程度が顕微鏡で判定出来る。(専門病院へ紹介します)
4. 肝生検(バイオプシー)
特殊な針を経皮的に肝臓に刺し、肝組織を採取する検査法です。採取したサンプルを顕微鏡でみて病理検査をします。慢性肝炎、肝硬変などの病状の把握に有用な検査です。腹腔鏡検査下に行う方法と超音波検査下に行う方法がある。(専門病院へ紹介します)