肝臓の窓

インターフェロン治療と副作用について

B型肝炎のIFNの治療と副作用

副作用発現時期には、個人差があります。自覚症状に現れる副作用の他に、検査値に異常が現れる場合もあります。

  • 血小板減少
  • 白血球減少
  • 肝機能異常(GPT/GOT)
  • インフルエンザ様症状(発熱・悪寒・全身倦怠感・頭痛・関節痛など)
  • 消化器症状(食欲不振・吐き気など)
  • 皮膚症状(発疹・かゆみなど)
  • 脱毛
  • 精神神経症状(不眠・イライラする・うつなど)
  • 間質性肺炎(息切れ・咳が続くなど)
  • 甲状腺機能異常(動悸・発汗など)
  • 心臓病の症状や糖尿病の悪化
  • 目の症状(視力低下・目がチカチカするなど)

初期症状(投与開始後1~2週間)

症状対策
発熱 通常1週間ほどで平熱は低下します。患者さんによっては慣れるまで、日数がかかる場合があります。 当院では、PEG-IFN開始後数週間は①注射4時間後、②注射8時間後③注射12時間後の3回、解熱剤(ロキソニン2錠)と胃薬を服用します。症状がなけなれば順次中止します。
また、突然発熱した場合は、適宜服用します。解熱剤は積極的に服用して、発熱・全身倦怠感などを取るほうが楽ですし、望ましいので、使用をためらうことはありません。注射後4~8時間の労働はできるだけ軽作業までとし、可能であれば、安静にすると楽です。
PEG-IFN(筋肉投与) 4~6時間程悪寒がして、5~6時間で発熱がピークに達します。解熱剤を使用しないと、38℃以上の高熱を呈しますが、多くは数時間で解熱します。
*INF-β(静脈内投与) 1時間以内に悪寒が始まり、IFNαより早く3~4時間で発熱のピークに達します。
全身倦怠感 発熱に伴い出現することがあります。これらの症状も通常1~2週間後には消失、軽減します。 安静
頭痛・頭重感 冷罨法、鎮静剤
関節痛・筋肉痛 湿布薬(温湿布、冷湿布どちらでもよい)
食欲不振
  • 嗜好に合わせた食事に変更
  • 1回に食べる量を減らして回数を増やす
  • 内服薬の使用
皮膚症状 (発疹・かゆみなど)下腹部、四肢、特に大腿部などに発疹が出現し、かゆみを伴うことがあります。 塗り薬や内服薬の使用

中期症状(投与開始後2週~3ヶ月)

症状対策
全身症状微熱・全身倦怠感・易疲労感など 一般的に初期より軽いことが多いです。
  • 解熱剤の投与
  • 湿布薬の使用
消化器症状吐き気・食欲不振・下痢など 食欲不振は程度の差はありますが、ほとんどの方にみられます。症状は2~3週間以内に軽減します。
  • 嗜好に合わせた食事に変更
  • 1回に食べる量を減らして、回数を増やす
  • 内服薬を使用
精神神経症状不眠・不安感・意欲低下・集中力低下 症状が続いて気分が落ち込む、やる気がないなどのうつ状態になることがあります。
  • 適度の運動
  • 不眠には抗不安剤や睡眠薬を積極的に使用
循環器症状胸痛・不整脈など 頻度は少ないですが、特に心疾患のある方は注意が必要です。
間質性肺炎から咳・息切れ・呼吸困難など 頻度は少ないですが、重篤なこともあるので、症状があるときは医師に報告してください。 ※小紫胡湯の併用により発生頻度が高くなるため、併用禁忌とされている
甲状腺機能異常甲状腺機能亢進症 脈が多くなる・発汗異常・動悸など これらの症状を感じたら、医師に報告してください。
甲状腺機能低下症 脈が少なくなる・むくみ・倦怠感など
糖尿病の悪化 糖尿病の方は、血糖値が上がり糖尿病が悪化することがあります。また、糖尿病でない方でも、一時的に糖尿病を発症することがあります。 糖尿病の方は医師に相談してください。
目の症状目の痛み、視力低下、網膜症など 目の痛みや視力低下、目がチカチカするなどの異常が現れることがあります。自然に治ることもありますが、糖尿病や高血圧の方は注意が必要です。 これらの症状を感じたら医師に報告してください。また、定期的にかかりつけ眼科医にて眼底検査を受けることをおすすめします。

後期症状(投与開始3ヶ月以降)

症状対策
脱毛 IFN投与開始後3ヶ月ごろから、軽度の脱毛がみられ、投与終了後1~3ヶ月まで続きます。自然に回復しますが、60歳以上の方では回復が遅くなる場合があります。 脱毛が目立つ時は、ヘアピース着用

C型肝炎のペグインターフェロン治療と副作用

C型肝炎の治療時に投与される大量のインターフェロンは、生体に様々な反応をを引き起こし、副作用となって現れます。副作用は薬などにより軽減できるものから対処が困難なものまであります。治療を継続し、著効を得るためには、あらかじめ予想される副作用を患者さんご自身が知っておくことが大事です。

ほぼ全例で見られる副作用

インフルエンザ様症状

発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛の症状で、食欲不振、嘔気、嘔吐などの消化器症状を伴うこともあります。C型肝炎のインターフェロン治療では90%以上の患者さんにあらわれる症状です。発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛に対しては消炎鎮痛剤を投与することで、症状が改善されます。発熱は慣れの現象で自然に軽快する患者さんが多いのですが、一部には慣れの現象が見られない患者さんもおられます。

白血球減少、血小板減少

治療開始後2〜4週間は減少し続けますが、その後の減少はほとんど見られません。治療前から既に白血球、血小板の少ない患者さんは減少に伴う合併症に注意が必要です。頻回な血液検査が必要な時もあります。治療終了後は速やかに元に戻ります。

脱毛

インターフェロン投与開始後1〜2ヶ月後に始まり、3〜4ヶ月でピークになります。インターフェロン治療終了後、毛髪が生え始め、多くは数ヶ月のうちに元の状態に戻ります。

まれに見られる重い副作用

甲状腺機能障害(1〜2%)

甲状腺ホルモンが多く分泌される場合(甲状腺機能亢進症)と、逆にホルモンの分泌が少なくなる場合(甲状腺機能低下症)があります。甲状腺ホルモンを治療前に測定することで、ある程度、発症を予測することが可能です。機能障害が発症した場合は甲状腺に対する治療が必要となります。

眼底出血(0.5%)

症状を伴うことは少なく、重症になると視力低下が出現します。血小板減少、高血圧、膠原病、血液疾患がある場合は注意が必要です。治療開始前、その後は1ヶ月毎に眼科での検査をおすすめします。

間質性肺炎(0.2〜0.3%)

非常に重篤な副作用です。原因は不明ですが、漢方の小紫胡湯との併用で発症率が高まります(現在、インターフェロンと小紫胡湯との併用は禁忌になっています)。症状は乾いた咳と労作時の息切れです。症状があれば肺CTを早期に撮り、診断をはっきりさせましょう。治療はインターフェロンの中止と副腎皮質ホルモンの投与です。

精神神経障害(1〜2%)

インターフェロンの直接的な脳血管細胞への作用によって引き起こされる精神神経症状と、神経精神症状の素因、特にうつ病などの病歴がある方におこる精神神経症状があります。一般にうつ病がある場合は、インターフェロン治療は禁忌となります。

その他の副作用

  • 糖尿病、またはその悪化
  • 不整脈、心不全
  • 末梢神経炎
  • 皮膚症状
  • 腎障害
  • 肝障害増悪の黄疸(とくに三剤併用療法時に注意)

治療期間中は、定期的な血液検査、症状の聞き取りを行い、副作用出現の有無をチェックします。御協力をお願い致します。

ペグインターフェロン+リバビリン治療の副作用

上記ペグインターフェロンの副作用に加えて、下記の症状に注意する必要があります。

溶血性貧血

リバビリンは内服すると赤血球に蓄積しやすく赤血球が壊れ溶血性貧血が起こります。程度の差はありますが、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法のときは必ず出現する副作用です。高齢者、腎障害者で強く出現する傾向にあります。治療を開始すると4〜8週間で貧血が強くなるので、血液データを見ながらリバビリンの内服量を調整します。治療前から赤血球が少ない場合は、リバビリンが使用出来ないこともあります。

消化器症状

ペグインターフェロン+リバビリン併用療法時に出現する消化器症状として食欲低下、嘔気、胃部不快感、味覚障害などがあります。症状が出現した場合は胃薬などを使用しますが、症状を完全に消失させることは難しく、特に食欲低下は治療期間を通じて持続することが多く、体重減少を来たします。

皮疹

約半分の患者さんに皮疹が出現します。程度は局所にとどまるものから全身に拡がるものまでさまざまです。軽症の場合は無治療で経過を見ますが、症状により軟膏、内服薬を使用していきます。まれに皮膚科の専門医の診察を必要とする場合もあります。

その他(治療期間中と治療終了後6ヶ月は避妊が必要です)

リバビリンは動物実験で胎児に対する催奇形性や精子の異常が報告されています。このため妊婦はこの薬を服薬できません。妊娠可能な女性は、妊娠検査によって妊娠していないことを確認しなければ服薬することはできません。男性の場合は、パートナーが妊娠または妊娠する可能性がある場合は、服薬中および服薬終了後6ヶ月間は必ずコンドームを使用しなければなりません。

次のような症状の場合は、出来るだけ早く主治医にご連絡ください。

  • 不眠、イライラ、気分の落ち込み(うつ病などの精神神経症状が疑われます)
  • 息切れ、乾いた咳、微熱(間質性肺炎が疑われます)
  • 動悸、汗をかきやすい、むくみ(甲状腺機能異常が疑われます)

ペグインターフェロン+リバビリン+シメプレビル治療の副作用

上記ペグインターフェロン+リバビリン治療の副作用に加えて、まれですが、肝障害、黄疸出現に注意する必要があります。定期的な血液検査が必要とされています。

インターフェロン治療の実際

外来での検査

C型肝炎ウイルス陽性と診断された場合、ウイルス量、遺伝子型、血液生化学検査、画像診断(CT,エコー)などにより、抗ウイルス療法の適応を判断します。肝機能障害が高度に進行している場合(腹水、低タンパク血症、黄疸を伴う肝硬変)やC型慢性肝炎の他に重症の合併症を持っている場合は、抗ウイルス療法が適応外となります。高血圧や糖尿病を合併している場合は、コントロールしてから抗ウイルス療法を行うことになります。

当院では、インターフェロン治療は、外来導入・継続治療でおこなっています

1週間に1回、ペグインターフェロンを皮下注射します。注射部位はもまないようにしてください。治療初日から内服が始まります。医師の指示により朝、夕のカプセル数が決まります。毎日服薬します。ただし、副作用によっては、医師の指示により内服の量の変更、または中止になることがあります。

入浴は出来ます。食事は制限ありません。食欲のない時は看護師に相談ください。管理栄養士がご相談します。

検査、治療の目標、方法、副作用等についての説明をさせていただき、理解、納得されているか看護師が確認します。また、治療スケジュールや内服方法、副作用の対処方法を説明させていただきます。患者さんの時間的負担の少ない受診方法についてサポートします。

副作用の対処に対しては、発熱による脱水予防のため十分な水分補給をして下さい。また、白血球減少による感染対策として、日ごろから、手洗い、うがいで感染を予防してください。

インターフェロン治療中の経過観察

当院では肝炎治療(C型慢性肝炎のカルテ)を中心にして、患者さんの治療を行います。効果、症状、副作用についてチェックしていきます。ウイルスが早期に血中から消失した方が高い著効率が得られます。血液データ上、赤血球、白血球、血小板の減少があった場合、ペグインターフェロンあるいはリバビリンを減量したり、中止したりします。また、患者さんの自覚症状(発熱、倦怠感、消化器症状、精神神経症状など)を確認して、適切な対応をとります。

インターフェロン治療終了後の経過観察

インターフェロン治療終了後、赤血球数、白血球数、血小板数は速やかに改善し、全身倦怠感・消化器症状などは徐々に消失し、体調は治療前の状態に戻ります。

1. 著効・非著効の判定

治療終了後6ヶ月間C型肝炎ウイルスが陰性を持続した場合、著効(C型肝炎ウイルスの完全排除)と判定します。治療終了後にウイルスが再出現した症例では再発と判定されます。肝機能が正常を長期間持続する場合もあり、しばらく経過観察を行います。インターフェロン治療によって著効が得られなくても治療したことが全て無駄になるわけではありません。C型肝炎ウイルスが陽性であっても肝炎が沈静化(GPT値の改善)したり、将来的に肝がんの発症を抑制する効果があります。

2. 著効例の方へ

著効例では肝機能の改善を経時的に見ていきます。長期にわたる経過観察が必要ですが、ゆったりとした気持ちで受診継続しましょう。通常は徐々に受診間隔を開けていきます。著効例ではその後は肝機能の悪化や肝硬変への進行は起こりませんが、少ない確率で肝がんを発症する場合があります。著効と判定された後も10〜15年は定期的な画像診断(エコー、CTを年1〜2回)必要です。

3. 非著効例の方へ

残念ながら完全著効(C型肝炎ウイルスが消失)が得られず、治療中C型肝炎ウイルスが陰性であっても治療後ウイルスが再出現(再発)した場合や、治療中もウイルスの消失を認めない無効の場合は、インターフェロンの再投与や肝庇護(ひご)療法(ウルソ内服、強力ネオミノファーゲンC注射、瀉血(しゃけつ))を行うことになります。しかし、たとえ無効例であっても、インターフェロン治療をおこなったことは、インターフェロン治療をしなかった患者さんより肝がんの発症が抑制されます。又、新しい経口剤治療が次々と研究開発されていますので、その都度御案内いたします。

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